2015年6月7日日曜日

ぶらりまちあるき 漢の茶揉み体験編

「夏も近づく八十八夜~♪」

皆さまご存知、「茶摘み」という唱歌の一説ですね。

京都における初夏の茶摘みの光景を歌ったもので、新緑の茶畑や新茶は夏の風物詩でもあります。



全国的には静岡茶や宇治茶などが有名ですが、ここ鹿児島は静岡に次ぐお茶の生産地であり、荒茶(製茶として選別・ブレンドされる前の茶葉)の生産量は日本全体の約4分の1を占めるそうです。

主な産地としては、知覧をはじめとする南薩地方が中心ですが、鹿児島市の松元地区でも広大なシラス台地を活かし、お茶の生産が行われています。

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そんな松元茶を身近に楽しんでもらおうと、今年の3月にオープンしたのが「都市農村交流センター お茶の里」です。

直売所で新鮮かつ安全な農産物を購入したり、旬の食材を使ったバイキング形式の食事も楽しむことができます。


隣接の敷地には綺麗な公園も整備され、まさに地元に密着したフードパークです!

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そんな「お茶の里」の目玉の一つが、お茶の手揉み体験。

現在では荒茶の製造工程のほとんどが機械化されているそうですが、ここでは昔ながらの手揉みによるお茶の葉を作ることができます。

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そんな話を聞きつけ、「揉むことなら任せろ!」とばかりに集まった漢が6人。

我々、茶揉み名人を目指します。

ということで、今月のまちあるきは「都市農村交流センター お茶の里」から、茶揉み体験をお届けします!

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会場はこちらのお部屋。


最近オープンしただけあって、とても綺麗。

おしゃれキッチンですね!料理男子にピッタリ?


皆が向き合っている、こちらの流し台のようなもの。

これは焙炉(ほいろ)と呼ばれるもので、茶葉を40~50度ほどの熱で乾燥させながら、手揉みの工程を行うための作業台です。

一見、なんてことのない機械ですが、これが後に我々を苦しめることになります…。

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今回、お世話になるのは茶手もみ保存会の方々。

手揉みの技術と文化を後世に伝えるため、ワークショップなどを多数開催しているそうです。

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使用するお茶の葉はこちら。

 
もちろん、地元産の「松元茶」です。

茶葉をよく見てみると、一定の加工が施されています。

どうやら、我々が行うのは仕上げに差し掛かる部分のよう。

新鮮な茶の葉は、さぞかし芳醇な香りがするのだろう…と思いきや、意外と匂いはしません。

触ってみると、ほんのり湿っているのが分かります。


早速、茶葉を焙炉の上に広げ、茶揉み体験スタート!

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1 揉み切り


まず、揉み切りの過程では、茶葉を両手ですくうように持ち上げ、茶葉を擦り合わせるようにして揉んでいきます。

こうすることで、茶葉を細く縒り、一定の長さに切ることができるそう。

また、茶葉の水分を揉み出し、乾燥させる効果もあるようです。


我々も名人に教わりながら挑戦します。

コツは中指の力を抜き、人差し指と小指で切ること!




一見、簡単な作業に見えますが、これが意外と難しい…。

とにかく、「切る」感覚が分からないのです。

名人のアドバイスに頷きながらも、メンバーの頭には「?」が浮かびます。


そんな状況のなか、「(コツを)掴んだ!」と豪語するメンバーもいましたが、気のせいだった様子。

茶葉は水分を残しているため、逆に団子状になってしまうことも。

茶揉み名人への道は遠い…。


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2 艶出し


次の工程は、茶葉の向きを揃えて両手で包み、手を焙炉の上に寝かせて構え、前に押し出すように揉み込みます。

茶葉が一定方向に回転し、擦り合わされることで、香りや艶が引き出されるそうです。


いざ実践してみると、先ほどの「揉み切り」よりは簡単な様子。

手順とリズムさえ覚えてしまえば、それほど困難な作業ではありません。

ただし…、


暑さを除けば!

いよいよ焙炉も暖まり(というか熱いです)、近くで作業をしていると汗がたらり。

タオルで拭きつつ作業を進めますが、追いつくはずもなく。

ぽたり、ぽたりと、漢たちの汗が茶葉にブレンドされていきます。


作業する手も、手際よく行わなければ火傷は必至。

これは参ったと、メンバーにも思わず笑みがこぼれます。

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3 仕上げ

 
茶揉みの最後は、「仕上げ」の工程。

茶葉の長さを切りそろえ、最後の艶出しを行っていきます。

ここでの我々の役目は…、名人に全てお任せして、見守ることのみ!




そう、見守ることのみ!

名人、(我々の尻拭い)ありがとうございます!

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4 乾燥

全ての手揉みの工程を終えた茶葉は、一か所にかき集め…


 
こちらの機械に入れて乾燥させます。


あとはひたすら待つだけ。所要時間はおよそ1時間ほど。

ちょうどお昼時なので、昼食をとりながら気長に待つことにしましょう。

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5 大人気バイキング



お茶の里の目玉の一つ、「はるやま農園食堂 お茶の花」。

地元農産物たっぷりのバイキングが待っています!


お昼時ということもあり、店内は満員!

休日は予約していくことをオススメします。


メインは茶葉の衣を纏った天ぷら!

とても丁寧に揚げられており、サクサクとした触感がたまりません。

茶葉のおかげか油のしつこさを感じることもなく、軽~く食べられてしまいます。


「ぅ、美味い!」

魔法にかけられたように、箸が止まらないメンバーも。

食事→デザート→食事→デザートの2回転で美味しく頂きました!

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5 包装

たらふく食事を済ませ、作業場に戻ると、ふわっと薫るお茶の匂い。

乾燥によって増幅された茶葉の香りが、部屋中に充満していました!

食後にお茶を飲んだときの、あのホッとする感じが全身を包み込みます。


乾燥させた茶葉は一度焙炉の上に戻し、パックの中に詰めていきます。

三人一組で作業をしましたが、出来上がりは一人あたり2パックほどになります。


最後にしっかりと封をして…


じゃん!漢の手もみ新茶、完成です!

もちろん、作ったお茶はお土産として持ち帰れます♪ 

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今回のまちあるきは、これにて終了!

お茶の作り方など露知らず、軽い気持ちで参加した茶揉み体験でしたが、これは想像以上に大変でした…。

一杯のお茶にも、先人の知恵と苦労が詰まっているのですね。

家に帰って入れたお茶は、(どこかしょっぱい気がするけれど)とても美味しかったです。

皆さんも体験してみては?お茶に対する考えが変わるかもしれません。

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2015年4月25日土曜日

ぶらりまちあるき 錦江湾魅力再発見クルーズ編

前回のまちあるきでは、鹿児島市中心部を走る市電に着目し、貸切による新たな楽しみ方を体験してみました。

ところで、鹿児島市にはもう一つ、個性的な公共交通機関があるのをご存知ですか?

その答えとは。。。


そう、鹿児島市街地と桜島を結ぶ「桜島フェリー」です!

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桜島フェリーの歴史はおよそ80年前、1934年(昭和9年)に、当時の西桜島村(のちの桜島町→鹿児島市)が運航を開始したことに始まります。


それまでは民間の渡し船が利用されていたそうですが、旅客や物資の運搬だけでなく、子女の安定的な通学の手段を確保し、教育振興に寄与することを目的に、村営での運航開始を決定したそうです。

現在も桜島地域には高校がありませんので、鹿児島市街地側の高校へ通学するためには、このフェリーが欠かせません。

少子化が進み、子供の数は少なくなりましたが、今も立派にその役割を果たしているといえます。

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ちなみに、この桜島フェリー最大の特徴は、終夜(24時間)運航であること!

深夜帯でも一時間に一本のペースで、鹿児島港と桜島港を結びます。

大都市圏の鉄道でも終夜運行は大晦日くらいですから、その点では意外と使い勝手のよい存在なのです。

ついつい飲み過ぎて帰りが遅くなってしまうような人には、心強い味方?かもしれません。

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そんな桜島フェリーにも、市電と同じように、 少し特別な楽しみ方があります。

定期航路から外れて桜島の眺望などを味わえる「よりみちクルーズ」や、水中花火やビアガーデンを楽しむ「納涼観光船」などがありますが、この春から新しく加わったのが、「錦江湾魅力再発見クルーズ」です!


このクルーズ企画、錦江湾内を大きく周遊し、桜島を中心としたジオ(大地)の魅力を存分に楽しめる内容とのこと。
しかも、就航したての新船に乗れちゃいます。

そこで、 (少し前置きが長くなりましたが…)今回のまちあるきは「錦江湾魅力再発見クルーズ」 の船内からお届けしたいと思います!

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1 まずは腹ごしらえ

集合は桜島フェリーターミナル、出航は12時30分です。


昼食は事前に済ませるのも良いですが、少し早目に集合して、出航前に船内で食べるのもオススメ。


我々は桜島の食堂「珍満」のお弁当を用意しました。

 
船上での食事は気持ちが良いです!

もちろん、桜島フェリー名物「やぶ金」のうどん・そばもあります。

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2 出航!

定時になり、いよいよ出航!

港を出てすぐに、定期航路のフェリーとすれ違います。


いつもと違うポイントで見られるのは、特別航路ならではですね。

高速船や、別航路のフェリーも観察することができます。



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3 桜島を前に

いよいよ本格的に湾内に入ると、 どーん!と桜島がお出迎え。


今日も元気に噴煙を上げています。

新船の展望デッキに上がると、そこはオープンルーフ!解放感満点です!


この日は天候にも恵まれ、いつまでもそこにいたくなるような心地よさでした。

ここで記念写真を1枚、パチリ。


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少しずつ桜島に近づくと、生簀や漁船が見えてきました。



生簀はおそらく、ブリかカンパチの養殖でしょう。

錦江湾の恵みと、それを享受する人々の生活がここにあります。

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4 ジオ講義(その1)

出航して15分ほど経過した頃でしょうか。

船内ではNPO法人「桜島ミュージアム」の福島氏による講義が始まっていました。

以前のまちあるきでもお世話になった方ですね!


同氏は火山地質学の専門家ですが、私たち人間の暮らしと火山の接点から、分かりやすく講義を進めてくれます。

桜島に関する意外なトリビアも散りばめられていて、思わず聞き入ってしまいました。


講義は車両甲板部分で行われていますが、船内のモニターでも見ることができます。

おじいちゃん、おばあちゃんも熱心に聞き入っている様子。

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5 船内の様子

ここで新船の内部を散策!


通路にはジオパーク関連のパネルがありました。

船内ジオ一色といったところでしょうか。ちょっとしたところにも楽しみがあるのは良いですね。


客室の前後方は窓が左右に広く、とても開放的な作りです。

貸切で結婚式場としての使用も想定しているためか、内装は白を基調としています。

窓から光が差し込むと、とても煌びやかです!


窓際の座席もgood!

なお、このクルーズでは車両甲板部分を解放しており、スタッフが記念写真も撮ってくれます!

お母様方が子供たちを撮る傍ら、我々も男だけで(むさくるしい)写真をパチリ。


実に良い表情です。

お口直しに、新船のイメージキャラクター「サクラフェアリー」ちゃんをどうぞ。


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6 ジオ講義(その2)

そうこうしているうちに、かごしま水族館のスタッフによる二つ目の講義が始まりました!


先ほどの福島氏が「大地」の話であるのに対し、こちらは「海」のお話ですね。


今回は、錦江湾内で発見された「サツマハオリムシ」という新種のチューブワームのお話が中心。

話を聞く皆に配られたのは、木の枝のようなもの…。


実はこれ、サツマハオリムシの身体を包む管なのです!

いわば、ハオリムシのお家といったところでしょうか。

自らこの管を作り出し、錦江湾の海底から火山ガスと共に湧き上がる硫化水素を栄養分に変え、慎ましく生活しているそうです。

火山活動に影響を受け、独特の生態系を築いた錦江湾の海。

サツマハオリムシを通して、その一端を垣間見ることができました。

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7 ワークショップ

さらに!講義に引き続き、ワークショップにも参加しました。


火山灰を使ってポスターカードを作ります!

下絵はなく、色鉛筆や筆ペンを使い、自らの手で一から絵を描きあげます。


徐々に無言になるメンバー、童心に返るとはまさにこのこと!

完成した作品(一例)がこちら。


真っ黒い桜島の噴煙部分は、実際の火山灰を使って表現しています。

少々塗りすぎたかな?

ちなみに、メンバー全員が桜島を描きましたが、灰を使って他にも表現できるものがあるはず!

想像力豊かな方は、是非参加してみてください。なかなか面白いですよ。

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8  錦江湾に思う

船は錦江湾奥に進み、桜島周辺に浮かぶ無人島の近くに差し掛かります。


火山活動により新しく生まれる島もあれば、地盤沈下などで消えゆくものもあるそうです。

普段気にすることのないような小さな島にも、それぞれのドラマがあるのですね。

地球全体からすれば小さなこの湾内でも、こうした営みがあるのかと思うと、少し感慨深い気持ちになります。

メンバーもどことなく神妙な面持ち。



そんな我々の様子を知ってか知らずか、桜島がまた大きな噴煙を上げていました。


これぞ、ジオ!!

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湾内をぐるっと回ったところで、今回のクルーズは終了です。

所要時間は2時間半程度でしたが、非常に中身の濃い船旅でした!

企画は大好評のようで、5月分のチケットは完売し、募集は締め切っているそう。

次回は9月開催ということですが、秋風に吹かれてのクルーズも気持ちがよさそうです。

それまで待てない方は、お手軽に「よりみちクルーズ」のほうへ参加してみるのも良いかもしれません。

詳細は桜島フェリー公式サイトで確認してくださいね!

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